攻殻機動隊SACの「笑い男事件」を理解するために、時系列で事件の重要事項をまとめました。
笑い男事件って、ストーリーが複雑ですよね。
各話のタイトルを観賞する際に、ぜひ参考にしてみてください。
電脳化が一般的になり始めて間もない頃、電脳化を施した生体脳の部位が次第に硬化し、最終的に脳死にまで至る症例が報告され、医学会で話題となる。
発症する確率は極めて低いものの、電脳化していれば誰でも罹るリスクがあり、根本的な治療法が発見されていないことから、結核・ガン・エイズにならぶ「21世紀の不治の病」と呼ばれるようになる。
後に「電脳硬化症」と呼ばれる深刻な電脳障害であり、電脳化への大きな障壁として社会的関心を集めることとなった。
村井千歳(むらい・ちとせ)博士により、結核菌の抗体から試行錯誤の上、電脳硬化症の特効薬「村井ワクチン」が発見される。
抗腫瘍抑制剤として開発された「村井ワクチン」は、理論的な裏付けが乏しく、マイクロマシン療法を推進する厚生労働省の中央薬事審議会より非認可となる。
翌年村井博士は電脳硬化症へのワクチン療法の実用化を見届けることなく亡くなる(享年68歳)。
2021年4月。村井ワクチンが急遽「特定指定者有償実験薬」(=患者が実費負担して治験に協力する治験薬)として認可される。
この認可は一般には公表されていないため、公式には「村井ワクチンを使用している患者は存在しない」とされている。
大手企業や政府機関に対する個人レベルの告発や訴訟を支援する一部NPO団体等により、村井ワクチンとその接種者に関する情報開示を求める動きが起こる。
マイクロマシンメーカー「セラノ・ゲノミクス社」社長のアーネスト・瀬良野氏が何者かによって誘拐される事件が発生する。
電脳をハックされたセラノ氏が、自ら車で誘拐犯の元に出向くという前代未聞の手口で誘拐される。
セラノ氏が誘拐された直後に、犯人より現金100億円と金塊100キロという莫大な身代金の要求が出されたものの、その後犯人からの連絡が2日間途絶える。
朝の番組収録中のカメラに、顔を「スマイルマーク」で隠した誘拐犯が、セラノ氏に銃を突きつけて、問い詰める様子が映し出される。
誘拐犯は、犯行後目撃者や街中のIRシステムの自分の顔に「スマイルマーク」を張り付かせながら逃走。犯人の顔はモンタージュできなかった。
<笑い男>はその後、生産ラインに致死的なウイルスプログラムを混入をすると脅迫を続けたことから、同社の株価が暴落する。
<笑い男>は、セラノ社の株価暴落が目的であったかのように、同社への脅迫はパタリと止む。
その後3ヶ月の間に、同じ手口で他のマイクロマシンメーカー6社も相次いで脅迫し、各社の株価も暴落する。
これに対して、政府による被害企業に対する公的資金導入が決定するやいなや、<笑い男>は犯行終了宣言を出し、こつ然とネット闇に姿を消した。
以上が、ざっくりとした流れですが、SAC全編の中においては、これは「前史」にしか過ぎません。
なぜなら、公安9課は「前史」にはまったく絡んでいないからです(素子は傭兵として海外の戦地で転戦中)。
6年の時を経て、2030年に突如再臨した<笑い男>と公安9課による新たなエピソードこそが、『攻殻機動隊SAC』になります。
……と、整理できれば誰も悩みません。
SACはそんな単純な構造ではないんです。